第18期 表彰

1.第18期 学会賞

  • 論文賞
    1. 表題:マイクロチャネルアレイを用いた毛細血管中の赤血球の挙動と変形能に関する生体外実験
      著者:田地川 勉、大場謙吉、樋口勝啓、榊原千礼
      対象論文:可視化情報学会論文集, Vol.25 No.12 (2005年12月) pp.84-91
      推薦理由:複雑な赤血球の挙動を解明するため、10μm以下のマイクロ流路での可視化観測に関する高度な技術に挑戦し、赤血球の挙動および変形能について新しい知見を得たことを高く評価する。
    2. 表題:Effect of Korteweg Stress in Miscible Liquid Two-Layer Flow in a Microfluidic Device
      著者:Sugii,Y., Okamoto,K.,Hibara,A.,Tokeshi,M and Kitamori,T
      対象論文:Journal of Visualization, Vol.8, No.2(2005-5) pp.117-124
      推薦理由:幅120μm,深さ35μmのY型の微小流路を流れる混和性の2相流の流れの計測が、マイクロPIVによって行われた。水とエタノールの2相流の界面において得られた速度はせん断応力のアンバランスを示した。論文ではこのアンバランスの理由を明らかにしている。この結果はマイクロフルイデック装置において、2相流の流れを混和するような流れ現象に対し新しい知見を得るもので論文賞に値する。
  • 技術賞
    1. 表題:Date Reduction by Applying an Image-Based Modeling and Rendering Technique to CG Models
      著者:Miyachi,H and Sakamoto,N
      対象論文:Journal of Visualization Vol.8,No.4(2005-4) pp.331-338
      推薦理由:可視化結果として得られるCG画像のデータサイズを減少するための画像を基本にしたモデル化及び表現化技術を開発した。この技術は実在の対象物から3次元図式も出るを再構築するのに応用された。カラー情報、幾何学的情報供にサイズを減少することが出来るので、モデルのサイズは効果的に減少出来る。このシステムを使って込み入った情報を約85%減少した実例が示されている。このようにこの論文は実用化できる有用な手法を提供しており、技術賞に値する。
    2. 表題:超音波探傷技術の最前線―レーザ利用の超音波伝搬映像化技術―
      著者:高坪純治、宮内秀和、矢代茂樹、王 波、津田 浩、遠山暢之
      対象論文:可視化情報 Vol.26 No.103 (2006.10) pp.277-282
      推薦理由:超音波探傷技術に関し、その伝搬映像の変化から欠陥を検知する技術に取り組み、金属から炭素繊維複合材にまで利用できる技術を開発した。特に発振側のパルスレオザビームを送査して超音波伝搬を可視化し、複雑な3次元形状への適用を可能とするなど、応用性の高い手法を提案した点を高く評価する。
  • 奨励賞
    1. 細谷和範
      表題:POD法を用いた複雑な流れ場の再構成(PIV計測によって得られた円管群内の流れ場への適用)
      著者:鈴木豊彦、落合義孝
      参考業績:可視化情報学会論文集Vol.26 No.12(2006.12)
      推薦理由:円柱群の複雑な流れ場に関し、PIV実施時の照明光の影に入った部分の計測を実施するなど極めて実用的な工夫を行い、さらにPIVの過誤データの影響を排除し、流れの組織構造の抽出を試みた点を高く評価し、今後のさらなる応用展開を期待する。
  • 映像賞 SGI賞
    1. 表題:Visualization of Capillary Flow in Sessile Drops and Detecting Spreading Stability by Iaser Refracted Shadowgraphy
      著者:N. Zhang and D. F. Chao
      対象論文:Journal of Visualization, Vol.9, No.3(2006), pp.241
      推薦理由:4種類異なる付着液滴内の微小な流れをレーザ・シャドーグラフ法によって可視化している。微妙な流れ場の様子を明確に捉えている点と芸術的な要素を評価した。
    2. 表題:Infrared Based Visualization of Wall Shear Stress Distributions with a High Temporal and Spatial Resolution
      著者:1.Rudolph,M.Reyer, and W. Nitsche
      対象論文:Journal of Visualization , Vol.10, No.1(2007), pp.8
      推薦理由:赤外線を利用して壁面せん断応力の時空間分布を可視化している。高解像度な新しい可視化手法である点を評価した。
    3. 表題:建築音響と環境騒音制御における音場の可視化
      著者:坂本慎一, 佐藤史明, 矢野博夫, 橘 秀樹
      対象論文:可視化情報, Vol.27, No. 104(2007), 口絵5, 本文pp. 19-25
      推薦理由:FDTD法によって、実際の小ホールの音響特性を数値解析し、音響伝播特性の可視化を行っている。吸収、共鳴、振動との連成といった複雑な実音場の境界モデル化および導入に取り組んでいる点を評価した。
    4. 表題:Shaping Converging Shock Waves by Means of Obstacles
      著者:V. Eliasson, N. Apazidis and N. Tillmark
      対象論文:Journal of Visualization, Vol. No.3 (2006), pp.240.
      推薦理由:8本の円柱に囲まれた領域での衝撃波の可視化をシュリーレン法で可視化している。手法自体に目新しいものはないが、選んだ題材が興味深く、その可視化映像の芸術性を評価した。

2.第34回可視化情報シンポウム

  • グッドプレゼンテーション賞
    • 講演題目:組付け音判定技術におけるWaveletの応用
      講演者:赤木桂二(株式会社デンソー)
      推薦理由:第34回可視化情報シンポジウム口頭発表セッションにおいて,セッション座長および聴講者による研究内容の学術的価値,講演発表,講演資料等総合的な審査の結果,上記講演は特に優れていると判断され,ベストプレゼンテーション賞に値すると評価された.
  • グッドプレゼンテーション賞 奨励賞
    • 講演題目:表皮効果の可視化による高周波用導体断面形状の最適化
      講演者:黒田洪平(法政大学大学院)
      推薦理由:第34回可視化情報シンポジウム口頭発表セッションにおいて,セッション座長および聴講者による研究内容の学術的価値,講演発表,講演資料等総合的な審査の結果,上記講演は特に優れていると判断され,ベストプレゼンテーション賞に値すると評価された.

3.全国講演会(神戸2006)

  • グッドプレゼンテーション賞
    1. 講演題目:高速ビデオカメラを用いたMarangoni不安定によるクラウンの崩壊過程の観察
      講演者:竹原 幸生(近畿大学)
      推薦理由:単一液滴が表面張力の違う液体に衝突するときに生じるクラウンの崩壊現象を高速ビデオカメラによって観察結果についての報告がなされた。1秒間に100万枚の画像を撮影可能なビデオカメラを用いたクラウン崩壊の美しい映像が評価された。
  • グッドプレゼンテーション賞 奨励賞
    1. 講演題目:ダイナミックステレオPIVによる水棲生物周りの
      渦構造の可視化
      講演者:田中利昌(九州工業大学)
      推薦理由:ドジョウが遊泳しているときの3次元流れ場をステレオPIVを用いて計測した結果について報告がなされた。実験結果を丹念に解析し、渦構造の立体的な解説を試みた講演内容が評価された。
    2. 講演題目:脳動脈瘤モデル内部に作用する壁面せん断応
      力の測定
      講演者:伊藤康介(横浜国立大学)
      推薦理由:脳動脈瘤シリコンモデル内の可視化とステレオPIVによる計測結果、更に壁面せん断応力の実験的評価に関する報告がなされた。複雑なモデル内の計測結果に対する詳細な検討結果とその表現方法が評価された。